ガウディをめぐるスペインの旅
早いもので2016年も一ヶ月過ぎてしまいました。
気づいたら2月となってしまい今さら年末年始の旅行記など書いている場合でもないのですが、訪問先で目にした建築とデザインが素晴らしかったので、備忘録として書き留めておくことにしました。
旅の行き先はスペインのバルセロナです。
バルセロナといえばガウディ、ガウディといえばサグラダファミリア。
というわけで、一生に一度は実物を目にしたいと思っていたサグラダファミリアを求めてバルセロナへと行って参りました。
名古屋からはバルセロナへの直行便がないため、行きは成田とドイツのミュンヘンを経由しました。
なのでものすごく時間がかかっています。飛行機に乗っている時間だけで15時間くらいです。
成田までの機中ではきれいな富士山が見えました。
泊まったのはエシャンプラ地区、ショッピングストリートのグラシア通り沿いのホテルです。
シェアハウスのような作りで、キッチンやリビングは宿泊客の共有スペースとなっています。
朝食時はメイドさんがキッチンで熱々の卵料理を作ってくれました。
このホテルの斜め向かいにあるのがカサバトリョ、ガウディがデザインを手がけた邸宅です。
外観の特徴は骨のような質感のバルコニーと鱗のような屋根、ガラスがはめ込まれ美しく輝く壁面でしょうか。
バルコニーのデザインは、オペラ座の怪人の舞踏会のシーンに出てくる仮面のようにも見えます。
正面から見た屋根のレイアウトは左右対称ではなく、美しいバランスを保った非対称です。
ガウディデザインの特徴のひとつである有機的な曲線は自然から着想を得たそうです。
自然界に直線や左右対称は存在しないとのこと。言われてみるとそうですね。
中には採光のための吹き抜けがあり、よく見ると太陽に近い部分と地面に近い部分とでタイルに濃淡がついてグラデーションとなっています。
これはガウディが海底洞窟をイメージしてデザインしたと言われていますが、丸いステンドグラスは泡のように、大きくうねった天井は海原のようにも見えます。
そして極めつけは階段の踊り場に取り付けられている波形のガラス。
覗いてみると波間にゆらめく海底洞窟が透けて見えるようです。
カサバトリョは床のタイルも可愛かったです。もちろんガウディデザインです。
そういえばグラシア通りの歩道のタイルもガウディによるものですが、六画形がホタテ貝とヒトデとタコで構成されています。
カザバトリョから徒歩5分ほどの場所にあるのがカサミラ、集合住宅です。
外観は波打つ岩のようで石切場(ラペドレラ)の別名もあります。バルコニーは鉄の海藻がまとわりついているようにも見えます。
ここは屋上がとても楽しくて、煙突には帽子が必要というのがガウディの持論だったようで煙突もガウディらしくデザインされています。
すぐ近くには建設中のサグラダファミリアが見えました。
カサミラの最上階は天井がとても特徴的なんですが、建物内の暖かい空気が最上階に溜められ、暖気が取れるようになっているのです。
そのため建設当時は住人たちの洗濯物干場として、また交流の場として活用されたようです。
カサミラに最も近い地下鉄駅ディアゴナルから二駅の場所にあるのがサグラダファミリア。
ガウディ好きの方には非常に申し訳ないのですが、このサグラダファミリア写真で見る限りもしかしてちょっとグロテスク?とも思ってましたが、実際のサグラダファミリアはとても美しかったです。
外観の見所は東側の生誕のファサードと西側の受難のファサード。
宇宙を感じるような近未来的なデザインが、100年も前になされたものだということが本当に驚きです。
ガウディは逆さ吊り模型という実験装置を使用し、数字や方程式を使わず丈夫で安全な構造を割り出したそうですが、その模型さえ美しく見えます。
サクラダファミリアから北西に、バスで20分程移動した場所にあるのがグエル公園。
庭園式住宅地として設計されたのが計画が頓挫し公園になりました。
広場のベンチは人間工学に基づき設計されていて座り心地は最高です。
色鮮やかなタイルがとても印象的ですが、市内の陶器・ガラスメーカーから譲り受けた廃材を利用しコストを少しでも下げる工夫を行ったのだそう。
また、この広場には砂が敷き詰められているのですがその砂は広場の下に作られた市場の柱を伝って雨水をろ過する機能があるのです。
バルセロナはサクラダファミリアが完成する(と言われている)2026年以降にもう一度訪れてみたいものです。