カールベンクスハウスを訪ねて

Eテレで放送中の番組、「カールさんとティーナさんの古民家村だより」。
新潟県十日町市竹所集落に住む、ドイツ人建築家カール・ベンクスさんと奥様が主人公のドキュメンタリーですが、この番組が大好きで。

カール・ベンクスさんのプロフィールを簡単にご紹介させてもらいますと、空手留学のために来日、やがて木造建築に魅せられ古民家再生・移築ビジネスを行うことに。
たまたま訪れた竹所に一目惚れし、現在の自宅となる古民家を購入し再生させることに。全国で再生した古民家は約50軒、2017年「ふるさとづくり大賞(内閣総理大臣賞)」を夫人とともに受賞されています。

そんなカールさんが竹所集落で蘇らせた古民家は計8棟にわたります。
取り壊し寸前だったあばら屋をはじめとする古民家は、いったん解体し全て元通りに組み直しているのだとか。窓には冬の豪雪にも耐えられるドイツ製ペアガラスがはめられ、内壁には断熱材、外壁は鮮やかなオレンジ色やピンク、黄色に塗られています。
日欧の融合ともいえる再生された古民家には、古材を利用した和家具と外国製のものが違和感なく共存しています。

いつか実際にこの地を訪れてみたい、、そう考えていたところ、十日町の工場を視察する機会があったため、竹所の最寄り駅であるまつだいまで足を延ばしてみることにしました。

さて、名古屋からまつだいまでどうやって行くべきか?
悩んだ末、東京を経由して上越新幹線で越後湯沢まで行き、そこからはローカル線に乗り換えることに。

まつだい駅に到着して、駅からの道を10分ほど歩くとオレンジ色の壁の古民家が見えてきます。
1階がカフェスペース「澁い」、2階がカールさんの事務所となっている、まつだいカールベンクスハウスです。
1階のカフェは休業日でも営業時間外でもなく、無事に店内に入ることができました。
中は太い無垢の柱や梁を張り巡らせた吹き抜けの大空間が広がっています。

ちょうど席も空いていたので、アップルパイと飲み物を注文。
内装やインテリア、カフェ内に置かれた書籍などを眺めながらゆっくりとした時間を過ごすことができました。

しばらくのんびりしていると、壁際の階段箪笥から人が降りてくる軽快な足音が聞こえます。背が高く眼鏡をかけたグレイヘアの男性をよく見るとカール・ベンクスさんご本人では。

何か話しかけるチャンスでは、、しかし何を話しかけたら良いのか見当が付かない、、
そんなことを考えているうちに、ご本人は颯爽と外に止めてあった車に乗り込み出かけていってしまいました。
そういえば2階はカールさんの事務所でしたが、まさかご本人にお会いできるとは思ってもいませんでした。

すると、カフェでお茶をしていた数人のグループが2階へと上がっていっています。
どうやら2階の事務所は見学可能な様子。
ということで、カールさんの仕事の邪魔をすることもなさそうなので2階も見学させてもらうことにしました。

2階は通路を挟んでいくつかの小部屋に分かれています。
柱や梁がとても美しく落ち着きを感じさせてくれます。

車の運転ができればレンタカーでも借りて竹所集落を巡りたいところですが、残念ながら運転ができないためカール・ベンクスさんの古民家を巡るのもここまで。
カールベンクスハウスを実際に訪れてみると、まるで建物自体が呼吸をしているかのような、温かな体温を感じる不思議な感覚がありました。